コミュニケーションが一番大切?

コミュニケーションが一番大切? 教訓

先日、「コミュニケーション?」ということについて書いたのですが、最近の何でもかんでもコミュニケーションという風潮に疑問を感じています。

 

コミュニケーションが一番大切?

私は、最近、ある仕事のいわゆる現場責任者・管理者の養成講座に携わっています。
その講座は、現場の責任者・管理者(職種は明かしませんが、現場では社員が1~2名程度で、あとはパート。アルバイトがほとんどを占めるといったものです。現場責任者になると、ある程度専門性が求められ、それなりの知識やスキルが求められます)として必要な知識やスキルの習得を目的として、複数回に亘って実施されており、会社等のトップの方から、現役の現場責任者の方まで、業界内では、名の通った方々が講師を務めています。

ある中年女性の受講生Aが、講師の方と話している際に、”知識等は勉強すれば身に付けられるので、コミュニケーション能力が一番大切だと思う”といった趣旨の発言をしていました。

ちなみにそれを聞いた講師の方は「うーん」と一瞬考えた後、”皆が嫌がる仕事を引き受けること”をすれば一目置かれるとおっしゃっていたのが印象的でした。
コミュニケーションが一番大切ということを、否定はしていないのですが、肯定もしていないのです。

また、別の講師の方は、若年のアルバイトの方が、無断欠勤したエピソードを語られ、その際にも、ある受講生が”そういうことを防ぐには普段からコミュニケーションをとっておくことが必要ですね”ということを言っていたのですが、その講師の方は、その受講生の言葉を肯定はせず、安易にコミュニケーションという言葉で片付けずに、「我々の世代と若年の世代では、”常識”が異なっていることもあるということを理解しておくほうが良い」と言っておられることもありました。

この講座の講師の方は、十数名おられるのですが、講義の中で、”コミュニケーションが大切”とおっしゃる方はほとんどおられません(全くいないわけではありません)。

それよりも、専門性の大切さを強調され、専門性を持っていれば、アルバイトやパートの方にも頼られるし、認められると言われる講師の方が多いのです(もちろん、講座の目的が影響している部分もありますし、最低限のコミュニケーション能力は持っているという前提があってのことだとは思います)。

決して、コミュニケーションが一番大切などと言う人はいないのです。

 

コミュニケーションという言葉に頼る人

あくまでも個人的見解ですが、コミュニケーションが一番大切だという人で、それほど優秀な人を見たことがありません。

仕事で成果を上げられる優秀な方は、理屈・理論に基づく専門性を持っており、コミュニケーションが一番大切と言う人は、優秀な方に比べると、専門性に劣り、パートやアルバイトの人材の管理という点においても、優秀な方に比べると、一部の人は定着するが、それ以外の人は人の入れ替わりが激しいという特徴があると感じています。

上記で述べた、ある中年女性の受講者Aをみていると、その理由がわかるような気がします。

Aは一見すると、いわゆるサバサバした性格で誰とでもそれなりに関われるので、コミュニケーション能力は高いと評する人が多いのでしょうし、自分自身もそれには自信を持っていそうなタイプですが、大雑把なところがあり、他者に対して細かいところまで目が届いておらず、例えば、講座の中で、グループで実習をすることもあるのですが、リーダー役を買って出るわりには、皆に均等に実習の機会が回るように配慮することができないのです(人の好き嫌いが、見る人が見れば、比較的わかりやすいタイプですので、それが影響している可能性もあります)
受講態度は積極的(講師の話に大きくリアクションをするので、講師としては講義をしやすい)で、決して評判は悪くありません。
しかし、座学でも実習でも特別優秀と言うわけではなく、受講生の中でも並といった印象です。

まず、コミュニケーションが一番大事という人は、コミュニケーション能力に自信があると自負している人が多いのですが、それ以外は大したことがないという場合が多いのです。
Aで見れば、「知識等は勉強すれば身に付けられる」と言っている割には、座学では並なのです(実習の場合は、身体能力的に女性が不利な場合もあるので省きます)。
勉強すれば身に付けられるのであれば、講座を受講して勉強しているのですから、身に付いていないとおかしいのですが、並程度にしか身に付いていません。
これは、今まで、コミュニケーション能力に頼って、コミュニケーション能力でごまかしてきたからなのでしょう。
表面的なコミュニケーション能力は高く、本来の能力以上に過大評価されてきたので、知識を身に付けることをの重要性も大変さも十分に理解していないのではないかと思います。

次にコミュニケーションが一番大事という人は、他者を評価する際にもコミュニケーション能力を重視します。
コミュニケーション能力に自信がある自分が基準になりますので、自分とスムーズに心地よいコミュニケーションが取れる人を高く評価し、そうでない人を低く評価する傾向があります。
つまりは、自分の好き嫌いが評価に影響するのです。
自分を基準にすると、どうしても視野が狭くなってしまいますので、そういったところが、大雑把で他者への配慮に欠けるというということに繋がっているのでしょう。
そして、自分とコミュニケーションがスムーズに取れる一部の人は定着するのですが、それ以外の人は人へは配慮ができないず、また好き嫌いで評価するので、一部の人は定着するが、それ以外は入れ替わりが激しいという状態が生まれるのだと思います。

コミュニケーションが大切と言う人は、コミュニケーション能力しか頼るものがなく、自分のコミュニケーションを基準に他者を評価するという人なのだと思います。

確かな専門性も持たず、他者への目も届かず、自分の好き嫌いで人を評価してしまうので、責任者と言う立場としてはいかがなものかと感じずにはいられません。

 

人の上に立つ人ほど、コミュニケーションに頼ってはいけない

人の上に立つ人は、部下とコミュニケーションをとることを推奨されますが、コミュニケーションに頼ってはいけません。

いくらコミュニケーションがとれても、無能な上司、頼りない上司の元で働きたいと思う部下はいません。

高い専門性等の確かな実力に基づく、実績を残していくことで、有能な上司となり、頼れる上司となるのです。

コミュニケーションが大切だという人は、コミュニケーションが好きですので、コミュニケーションがとりやすい部下を過大評価してしまうということも忘れてはいけません。

コミュニケーションをとるのであれば、人の上に立つ立場であれば、部下全てとフラットなコミュニケーションを心掛け、その良し悪しを評価に持ち込んではいけません。

コミュニケーションなんて所詮は水物です。

自分も確かな実力を持ち、確かな実力を持つものをきちんと評価すべきです。

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