自分勝手が自分勝手に見えない理由

くすぶり人の戯言 教訓

人はみんな自分勝手な生き物です。
しかし、中には自分勝手に見えない人、見なされない人というのがいます。
これは、自分勝手と捉えられるか否かは、関係性に依存するからです。

事象は関係性の中で生じているのです。

以前、「事象は関係性の中で生じる」ということについて書きました。
自分勝手と見られるか否かは関係性によって異なります。
同じ言動でも自分勝手と捉える人もいれば、自分勝手とは捉えない人もいるということです。

私の体験談

私は以前、とある中小企業につとめていました。
勤務先は10名程度の社員がいて、保守的かつ割と社長のワンマン経営の会社でした。
そこに、ある社員(以下A)と同時期に入社したのですが、そのAが私はとても自分勝手な人間だと思っていました。

入社当初、私は教えられた仕事を、教えられた手順でこなしていました。
教えられ手順には非効率的と思われることもありましたが、まずは仕事を覚えたいということもあったので、あえて非効率なことにも従っていました。

Aは入社後、それほど時間が経たないうちに、上記のようにして進めた私の仕事に対して「非効率的なので、こうしたほうが良いんじゃないですか?」とか、「このやり方だとリスクがあるんじゃないですか?」と言ってくるようになりました。
言うのは別に構いません。同意できる部分もありましたし。
ただ、思い付きでいってるなと思うこともあったのも事実です。

そのうち、それを「この会社をもっと良くしたいと思っている」ということを旗印に、周囲に提案していくようになりました。
時には、ある申請に必要な書類について、求められてはいるが必須ではなく、申請採否に影響しない、これまでは提出していない書類であっても、「ちゃんと揃えて申請するほうが、対外的にも会社がちゃんとしていると思ってもらえる」との理由で用意するよう求めてくることもありました。
ちなみにAの本音は、対外的な窓口はAが担当していたので、「(対外的な評価も含め、)自分の評価を上げたい」ということだったようです(これはAが言っていました)。
それにより、周囲の仕事は増える一方、Aの仕事量はあまり多くはなかったと思います(改善案(不平・不満)を毎日、業務時間内に1~2時間話していても、定時に帰ってましたから。
要は周りを利用して、自分の評価を上げたいとか、自分のやりやすいように変えたいというのが本音だったのではないかと思います。

加えて、その職場は基本、土日祝が休みなのですが、土曜日は当番制、交代で出勤がありました。Aは様々な理由をつけ、月曜日が祝日となる前々日の土曜日は必ず都合が悪いと言って出勤しませんでした。

上記を見ればAが自分勝手だと感じる人は多々いると思います。
私も、口ばっかりで自分勝手な奴だなと思っていました。
ただ、周囲はそうは思っていませんでした。
比較的ポジティブに捉えられていたようです。

関係性構築力が高いと、自分勝手でもそう見なされない。

関係性構築力については、「学校は社会の縮図」で言及していいますので、そちらをご覧いただければと思います。

Aが自分勝手と見なされなかったのは、関係性構築力が非常に優れていたからです。
上記した会社は、社員も少なかったので、明確な役職者というのはいなかったのですが、そこでのキャリアが長い社員が1名(以下B)おり、そのBが取りまとめ役のような形をとっていました。

Aの行動を見ていると、まず、そのBと良好な関係性を構築し、Bから「責任は取ってあげるから、自由にしていいよ」とまで、言われていたそうです(Aが自慢気に話していました)。
それがAの自分勝手さを助長したと思います。
人の入れ替わりが激しく、Bがダントツに長いキャリアがありましたので、やはり周囲への影響力はありました。
そのBのお墨付きをもらっているということで、周囲もそれに影響された部分もあると思います。また、Aは関係性構築力が高いので、周囲とも自分勝手が通るようなAにとって有利な関係性を築いていました。

Aの能力が高かっただけなのではという意見もあると思いますが、社長からの評価はあまり良くなく、行動力はあるが、自分勝手に仕事を進め、問題が起きるとすぐに対応を上の人に投げる無責任さがあるといったものでした。
実際にAが自分の考えで勝手に仕事を進めたことで、割と大きな問題になることが何度かありました(頻繁にというほどではありませんが、他の人と比べると多かった)し、それをごちゃごちゃと屁理屈を言って、人のせいにしている場面も度々見られました。

それでも、Aの自分勝手は許されていた(自分勝手とはみなされていなかった)のです。

結局は関係性に依存するのです。

自分勝手に振舞っても、関係性によっては自分勝手とは見なされません。
自分勝手と言われる人は、他者との関係性を見直してみると良いかもしれません。
本当は自分勝手じゃないかもしれません。

しかし、他者から見たあなたが自分勝手ということは、他者にとっての事実です。
関係性構築力が低い人にとっては苦しいですね。
我々は社会の中で生きています。
社会の中で生きる以上、他者との関りは避けれません。
不快な思いをせず、自由に生きられるかは、他者との関係性が全てと言っても過言ではありません。

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